アレルギーを理解するための基礎的な内容を掲載しました。
よろしければ参考にして下さい。
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環境整備について(その3)
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ダニ以外では、いろいろな種類のカビ類がアレルゲンになります。ダニと同様に高温多湿が繁殖条件ですが、特にカビの栄養となる土や水分を徹底的に取り除くことが効果的です。
家庭内では、鉢植え、浴室、洗面台、エアコンのフィルター、カーテン、靴箱、カーベット、押し入れが繁殖場所です。
カビ対策を列挙します。
●室内には鉢植えを置かない。
●換気をこまめにして、湿度を下げる。
●エアコンのフィルターをこまめに掃除する。
●お風呂の水は毎日抜く。浴室は石けんカスを洗い流し水滴を拭き取り、乾燥させる。
●洗面台の水滴をよく拭き取る。
●カーテンは洗濯をこまめに行い、カビが生えたらエタノールでよく拭く。
●湿気のある靴は陰干ししてから靴箱へしまう。
●押し入れはすのこなどを利用して空気の通り道を作る。
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環境整備について(その2)
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環境整備のポイントを列挙します。
注)掃除をまめにしても、物があふれた部屋は、埃が溜まりやすくなりますのでスッキリした部屋にして下さい。
●床は畳や絨毯よりフローリングが良い、素材も化学繊維を選ぶ。
●ソファは天然皮革や合成皮革などダニの繁殖しにくい素材を選び、クッションはなるべく置かない。
●家具は掃除しやすくするために移動できるものを選び、扉をつけたり上に物を置かないようにする。
●カーテンはこまめに洗濯するかブラインドを選ぶ。
●ぬいぐるみは置かないことが望ましいが、定期的に洗いよく乾燥させる。
●暖房はパネルヒーターや床暖房が理想的だが、エアコンを使用する場合は、空気が舞い上がらない室外換気型を選ぶと共に、フィルターの掃除をこまめに行う。湿度に注意を払い、冷房を切る時は送風モードにして内部を乾かす。
●鉢植えや観葉植物は湿度を上げるので置かない。
●換気がとても大切となる為、風通しを良くすることと換気扇でこまめに換気をする。ただ、花粉の飛ぶ季節は、雨の日や飛散量の少ない夜間に短時間で換気する。
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環境整備について(その1)
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アレルギーの原因となるアレルゲンや誘因の対策には「環境整備」が大切です。
アレルゲンを考えると環境整備で一番重要なのはダニ対策ですが、その他動物の毛、カビ、たばこ、大気汚染やディーゼル粒子、ウイルスなどの対策も必要です。
ダニと言っても数種類あります。ほとんどが人のフケを餌とするヒョウヒダニですが、生きているダニだけでなくダニの死骸やフンなどもアレルゲンになります。ダニは、気温20℃以上・湿度60%以上が繁殖しやすいのですが、日本の家屋構造に生息しているダニは、喘息を発症する量を一年中超えていると言われています。
そして、ダニ対策のなかで、一番大切なのは、寝具対策と掃除機がけです。
寝具類は、天日干しや布団乾燥機の後、掃除機で吸い取ることが重要です。これは、ダニの死骸を取り除く必要があるためです。最低1週間に1回、1㎡あたり20秒かけると効果的です。また、布団の丸洗いや防ダニ布団、防ダニシーツやカバーの使用も効果的です。
その他、枕やその周りも注意しベットマットも立て掛けて湿気を逃がして下さい。
お部屋の掃除機がけはできるだけ毎日行うことと、畳と寝具は3日に1回、1㎡あたり20秒の時間をかけると効果的です。フローリングは、ウエットタイプのワイパーなどで拭いてから掃除機をかけることをお勧めします。
その他のダニ対策は、環境整備について(その2)を参照して下さい。
タバコは、本人だけでなく、家族の喫煙も喘息の発症因子と悪化因子になります。また、肺炎や将来呼吸機能の低下をもたらしますので100%禁煙が望ましいです。
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アレルギーの発症予防について
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アレルギーの発症予防については、我々アレルギー専門医にとって永遠のテーマです。
まず、昔から最初に関与するのは「食物抗原」です。
特に「卵白」によって発症することが多く、それを除去をすれば発症予防できると考えられていました。
実際、第一子がアレルギー疾患を持つ場合、妊娠後期8か月から出生後8か月まで母子ともに除去すると、第2子のアレルギー疾患の発症頻度が少なくなる。との論文もあり、乳児期は特に卵の制限を勧めていました。
しかし、現在では除去するより経口免疫寛容と言って、少量ずつ食べさせる方が、食物アレルギーの予防になるとの考えが主流になってきました。
ただし、乳児期に食物アレルギーとして症状が出た場合は除去が原則なので注意が必要です。
最近では、初期の食物抗原は、経皮感作と言い皮膚からの食物抗原の侵入が関与することが判明し、乳児期のスキンケア(保湿剤や軟膏など)が重要だとわかってきました。このことが、アレルギーを理解頂くための入口として一番大切です。
また、乳児期に卵白のアレルギーがある場合は50~80%はダニのアレルギーに移行しますので環境整備の必要性が指摘されています。
早期に保育園に通園して感染の暴露も多く、気道症状が多い場合は、抗アレルギー薬の早期投与も予防効果があるとされています。
将来は、乳児期の遺伝子検査で発症が予想され、事前に対応できる時代がくるかもしれません。
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アレルギー検査について
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症状の原因となっているアレルゲンを避け、適切な治療を行うためには、「アレルギー検査」が必要です。
アレルゲンを特定するための検査には・・・
「血液検査」
「皮膚プリックテスト」
「食物除去テスト」
「食物経口負荷テスト」などがあります。
即時型アレルギーに関連する特異的IgE抗体を測定する「血液検査」による抗体検査は、現在200種類近くの検査項目があります。結果がスコア0~6までの7段階に表示されますので、臨床症状と合わせて診断を行います。
「皮膚のプリックテスト」は疑わしいアレルゲンエキスを1滴滴下して、専用の針で皮膚を傷つけ15分後の皮膚の変化を見る方法です。まだ、十分に血中が検出されない乳児に有用です。
また、「Prick-to-prick test」と言って果物など、その抗原を直節皮膚につけて皮膚の変化を見る検査法もあります。
その他、食物アレルギーで、疑わしい食物を除去し症状の改善を診た後、実際食べてみてその後の誘発症状で診断する「食物除去負荷試験」や、疑わしい食物を実際食べて誘発症状の有無を診断する「食物経口負荷試験」などもあります。
※食物経口負荷試験については「食物アレルギー」のページにて説明いたします。
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アレルギーマーチ
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「アレルギーマーチ」(別名アレルギーの行進です)と言うと聞きなれない言葉だと思いますが、アレルギー発症を含め理解するためには必要になります。
胎生期や乳児期には・・・
消化管の機能が未熟(分泌型IgAが足りない)で、皮膚も薄く、外界の刺激に対して弱い時期で、食物抗原が関与して湿疹やアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などの皮膚症状や下痢などの消化器症状が起きます。
年齢が進むにつれて・・・
ダニなどの吸入性抗原に移行し、感染等がきっかけとなり気管支喘息やアレルギー性鼻炎を発症していきます。
このように、年齢と共にアレルギーの形が変わっていく事を「アレルギーマーチ」(アレルギーの行進)と呼んでいます。
アレルギーはアレルギー体質(遺伝子)と言う先天的な因子に、アレルゲン(先天的な部分もあります)や誘因と言う後天的な因子が加わり発症するためです。
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アレルゲンとアレルギー症状について
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アレルギーの症状は、アレルゲンの種類によって差がみられます。
「食物抗原」の関与する症状
蕁麻疹や湿疹、アトピー性皮膚炎のような皮膚症状、下痢などの消化器症状が主になります。
ただ、アレルギー反応が全身に及ぶと嘔吐などの消化器症状、喉頭や気管支の浮腫や閉塞などによる呼吸困難、血圧低下、意識低下、意識消失など「アナフィラキシー」と呼ばれる状態になりますので注意が必要です。
「吸入性抗原」の関与する症状
種類により症状の差がみられます。
「ダニ」による場合
気管支喘息やアレルギー性鼻炎やアレルギー結膜炎が大部分です。若干季節性はありますが、通年性に症状が出ます。
「花粉」による場合
もちろん飛散時期のみの症状ですが、くしゃみ、鼻水、鼻閉のようなアレルギー性鼻炎と眼の発赤、かゆみなどのアレルギー性結膜炎です。成人では、頭痛、微熱や倦怠感など全身症状も出ます。
「動物」による場合
舐められことによっての局所症状もありますが、毛などの吸引によりアレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹を起こす場合がほとんどです。
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アレルギーとは?
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人間は、誰でも体に入った異物(抗原)を処理する能力があります。これを「免疫」と言います。
アレルギー体質(遺伝子だと思います。)を持った人は、何度も抗原が入った時にその免疫システムが破綻して化学伝達物質が遊離され、これが人体に害を与える反応を起こすようになります。これを「アレルギー」と言います。
このアレルギーの大部分が、IgE抗体を作る免疫を介した反応です。
また、2時間以内に発症するのは、「即時型反応」、数時間以降に発症するのを「遅延型・遅発型反応」と言います。
誘因抗原を「アレルゲン」と言い「食物抗原」と「吸入性抗原」に分かれます。
抗原や人によって標的臓器(症状のでる場所)が違うので、症状や病気の種類が違います。
症状の発現には、様々な状況や誘因が関与します。